ジーザス・クライスト=スーパースターアリーナツアー2012

▼お台場のシネマメディアージュにて、ドリパスによる復活上映を見てきました。
大雪の翌日で、ゆりかもめの運転見合わせにわたわたしながらもすべり込み。

▼JCSは好きなミュージカルの1つで、劇団四季版JCSは
ジャポネスクバージョンはもちろん、エルサレムバージョンも浅利氏による演出がかなり入っているのは知っていたので、もともとの演出に興味はあったものの、「日曜の朝にわざわざお台場に行ってまで見なくてもいいかな」とスルーするつもりだったのです。
しかし上映を求める声を読んでみたら、
「ブルーレイ(DVD)になったのを買って見たら、字幕が劇団四季版の歌詞になってる!上映されたときの字幕が素晴らしかったのに台無しです!もう1度、上映されたときの字幕で見たい!!!」
という感想一色だったので、もとの字幕に興味を持って見に行くことに。

▼始まってまずびっくりしたのは、演出が現代アメリカになっていること。
これもまたもとの演出というわけではなかったのねと思いながら見始めましたが、面白い。
冒頭はテロやデモを伝えるニュース映像が映し出され、ローマ兵と民衆の衝突の部分が、機動隊と現代アメリカの若者とのぶつかりあいの形で始まります。
そしてこれが現在の話かと錯覚しかかると、「ROME LIES」と書かれた垂れ幕が目に入り、エルサレムに引き戻されます。

▼そしてジーザス登場。ああ、現代に置き換えるとこんな感じなんだろうなと納得。
いい男なんですが、時々ふかわりょうがちらつきます。

▼そしてユダ登場。めちゃくちゃガタイがいいんですけど。
そしてこの人コメディアンって本当ですかめちゃくちゃシリアスだししっかり歌ってるんですけどと思って調べたらミュージカルコメディアンなんて肩書が。

▼そして歌い始めて思ったのが、確かにこれは劇団四季版の歌詞をあてたらいかんわ、ということ。
劇団四季版は音楽にのせて日本語で歌わないといけないから音数による制約がかかるのはもちろんだし、四季版も嫌いではありません。大筋は外さずに訳していると思うのですが、やはり細かい部分は訳しきれなかったり、繰り返しとか叫びとかでごまかしている部分があったりするわけで。行動や展開を追うだけなら大筋の訳でよくても、心情面はやはり足りないのだなと実感。
字幕ももちろん字数制限があるわけですが、この映画の字幕を見ていると、四季版ではわからなかったユダ、マリア、ジーザスの心情やその動きがよくわかり、(四季版より)納得できるのです。
加えて、いくら楽曲と原詞が同じでも、これだけ演出が違うものに、別の演出の訳詞をのせるのは無理がある。四季版の歌詞は、やはり四季版の演出に合わせてつくられているのですから。
そんなこんなで、この役者の細やかな演技、演出に、四季版の歌詞をのせるのはちょっと。
もともとの字幕がなくて、メディア化のときにしかたなく四季版から引っ張ってきたならまだわかるのですが、これだけの字幕があるのにわざわざ差し替えるのは、いろいろと権利的な問題があったんでしょうけど、本当にもったいない。
上映が始まって、訳者の名前が出て四季版じゃないとわかった瞬間、客席の一部から拍手が上がっておいおいと思ったのですが、これは納得です。

▼あと、作品の性質からか観客の性質からか、最初と最後、プリンシパルの登場シーンとソロナンバーのあとは、それぞれ拍手が起こりました。
映画館ではなかなかお目にかかれない光景なのでちょっとびっくり。

▼演出は細かいところまで面白かった。防犯カメラの映像、ペテロのゲバラTシャツ、ジーザスの脅威をカヤパにプレゼン風に説明するアンナス、健康維持のためのランニングから帰ってきてトレーニングしながら話を聞くピラト、TV番組の司会者で真っ赤なスーツのヘロデ王
そういえばマリアが歌いながらケバケバ化粧を落としたらその下から綺麗な化粧が出てきて、
「!!!(どうなってるの?!アートメイク、にしてもシャドウが綺麗に入ってるし、何?油性絵具と水性絵具みたいなもの?あれか、上のケバ化粧は普通の化粧品で下の化粧はシンクロナイズドスイミングで使うようなやつか?)」
とか真剣に考えていたら歌が全く聞こえなかった。

▼まぁ何より、カヤパとアンナス他悪役軍団と、ピラトのスーツ姿(&ロマンスグレー)ですよ。
みんなスーツでばりっときめて、ええ声で歌うわけですよ。
眼福眼福、耳福耳福、くふふふふふふ。
字幕がこのまま入っていないのは残念ですが、このスーツ軍団のためにDVDを買うか思案中。